半世紀にわたり受け継がれてきた想い
”海と貝と真珠を愛する男たちの物語”
60年もの間、貝と苦楽を共にしてきた男たちがいる。
愛媛は宇和島、Yamashita-Pearl(旧:山下真珠)の漁師たちである。
「海がすべての始まりぞ。海に感謝せにゃいかん。」
創業者である山下良一の言葉を胸に、彼らは今も海への感謝を絶やさない。
真珠養殖屋の朝は、夜明けとともに始まる。
まっさきに行うのは海の状態の確認である。
真珠を育む母貝はとてもデリケート。
海水温の変化やプランクトンの増減、海水の汚染などに敏感に影響を受けてしまうのだ。
海を見守り、貝を育てる漁師たちは、夏場の高水温や、あこや貝に適さないプランクトンの大量発生、冬場の時化(しけ:悪天候で海上が荒れること)や低水温など、人間の力では手に負えない厳しい自然環境から、少しでも母貝たちを守るために日夜格闘しているのである。
こうした試練を乗り越え、当年物(1年物)真珠として浜揚げ出来るのは、仕入れた母貝に対して、なんとわずか半分程度。越物(2年物)真珠になると、その数は3割~4割程度まで減ってしまう。
だからこそ、山下良一は、海への感謝を常に漁師たちに説いたのである。
また、Yamashita-Pearlが使う漁場、宇和海の九島裏は、餌(植物プランクトン)や生き物が多く、誰もが認める最高の漁場である。
この素晴らしい漁場を生み出しているのは、宇和海を取り巻く、豊かな自然環境である。太平洋や大陸棚からの潮の流入と、山からの富栄養で清らかな水の流れ込みが、真珠の養殖に最適な環境を生み出しているのだ。
ところが、近年はこの宇和海も、環境破壊の影響を存分に受けている。
残念ながらそれは、この地で暮らす人々の心がもたらしている結果でもある。
本来、一番海を大切にすべき漁師でさえも例外ではない。
漁師たちに捨てられたロープや浮きの残骸が、海を漂う光景を時折見かける。
煙草の吸殻は、海に捨てない人の方が珍しい。
そんな中、Yamashita-Pearlの漁師たちは、
創業当時から変わらず、「海への感謝」を忘れない。
豊かな恵みを与えてくれる海を、出来る限り汚さないことにこだわり続けているのだ。ゴミやタバコの適切な処分はもちろん、合成洗剤ではなく石けん洗剤の使用や、海の清掃、山への植林活動も積極的に行っている。
そして今、漁師たちは、ホームページからの売上の1%を、宇和海周辺の植林活動へ寄付する新たな試みを開始した。
母なる海への感謝を込めて。
(注1:合成洗剤は海の生き物にとって大変危険な薬物です。水槽実験で2、3滴合成洗剤を入れたら、魚たちがすぐに死んでしまったのです。)
(注2:売上の0.5%をYamashita Pearlが責任を持って、宇和島漁協の植林活動資金として直接寄付いたします。)