ブルーピンクパールの秘密
60年の歴史を持つ真珠養殖屋をうならせる真珠がある。
単なる花珠や10mm超えの珠ではない。
知る人ぞ知る“ブルーピンク パール”である。
真珠養殖屋でさえ、出逢える確率はわずか0.003。
一般の市場にはほとんど流通していないと言っても過言ではない。
そんな良質なブルーピンクパールを生み出すには、大きく分けて7つのポイントがある。
- 豊かで最適な「海」
- 真珠を育む良質な「母貝」(あこや貝)
- 珠の色を決める「ピース貝」
- 珠質の50%を左右する「仕立て」
- 熟練の技術が必要な「核入れ」
- 母貝を守る「管理」
- 最後のお化粧「加工」
それではそれぞれをもう少し詳しく説明していこう。
▲中央がブルーピンクパール。「七色に輝く真珠」とも言われる。上は黄色ゴールド系、右はピンク系、下はブルー系、左はオレンジ系の珠。
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▲宇和海の九島裏
Yamashita Pearlが使う漁場、宇和海の九島裏は、誰もが認める最高の漁場である。餌(植物プランクトン)が多い海は 他の動物も多く発生するので、母貝であるあこや貝は汚れる。つまり、手のかかる海の方が良い海となる。
最適な海の条件とは具体的に以下のようなものである。
・植物プランクトンが豊富かつ適した種類であること
・水温が真珠作りに適していること(冬には水温が適度に下がり、夏には水温が適度に上がること)
宇和海には、ある程度定期的に急潮(透明度が高く貧栄養な太平洋の黒潮)が入り、海底まで太陽光が届くと海底の植物プランクトンが発芽する。そこへ大陸棚の冷たい潮(ミネラル等植物プランクトンに必要な栄養が豊富)が入ることで、一気に植物プランクトンが豊富な海へと変わる。同時に動物プランクトンも増え、その他の小動物も活性する。さらに、山から河川を伝い流れ込む富栄養の水により、宇和海は豊かな漁場を保っているのだ。
こうした豊かな海があるからこそ、宇和島は日本一の真珠養殖高を誇っているのだ。
もちろん、量だけではない。質の面でも宇和島産真珠は、良質な証であるピンク色が自然に差す。加えて餌が豊富なために十分な「巻き」もある。そして、他の漁場と比べるとブルーも差しやすい。
今のあこや貝は主に、国産の貝と外来種の貝を掛け合わせた通称「交雑貝」が主流になっている。交雑貝は各ふ化業者がそれぞれの技術、情報を駆使して親貝を選びふ化させる。その種類は40種類にも及ぶ。
母貝業者はその中から良質と思われる種類を仕入れて育てる。母貝業者が稚貝を仕入れ真珠業者へ出荷出来るのは約半分。残りは出荷サイズにならなかったり、途中で死んだり、形が変形したりする。その上、もし仕入れた稚貝が粗悪なものだった場合、さらに出荷数は減ってしまう。つまり、稚貝が真珠養殖のための母貝として厳選される時点で、すでにその確率は50%以下となっている。
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▲真珠の母、あこや貝
真珠を作るには、母貝となるあこや貝の中に、核(淡水の貝殻を丸く加工した物)と、真珠を作る細胞の欠片を手術で入れる作業が必要となる。真珠の色はどの種類の貝の細胞を使うのかで大きく左右される。一つのピース貝から、20~30の欠片が取れるので、全体の成績にとても大きく関わってくる。
仕立てとは、あこや貝を仕入れて、核入れ作業をするまでの貝の育て方のことである。足を柔らかくしたり、卵をなくしたり、程よく弱らせたりする。この調整こそが、良質な真珠を作るための条件の50%以上を占める。
真珠の養殖屋は、真珠のプロであるだけではなく、あこや貝のプロでもあるのだ。
核入れとは、母貝の中に小さな核や欠片を手術で入れることである。Yamashita Pearlは核入れ作業を4月~6月に行う。これは、九島裏の漁場には、その時期に作業を行うことが適しているからである。少し場所が変われば、やり方も時期も適した貝も変わってくる。
また、核入れの技術そのものも良質な真珠を作る上では大きな要因となる。たとえポイント4までの条件が揃っていても、核入れの技術が無ければ、良い珠は作れないからだ。
▲真珠の核入れ
核入れ作業をした貝は約1カ月、傷の回復のため静かに養生する。その後、荒い目のネットに並べ替え九島裏の漁場へ移動する。この作業の事を「沖出し」という。
Yamashita Pearlでは沖出しの時にレントゲンで核が正常な位置にあるかどうか選別し、位置の悪い貝は核を取り出し処分する(処分の方法は、近所の篭漁の人に譲り、餌として使ってもらっている)。
沖出しした後は、一週間に1回ずつ「動噴(水圧で汚れを飛ばす作業)」したり「塩水(飽和濃塩水にネットごと漬け消毒する作業)」したり、汚れがひどい場合はネットから出し掃除したりする。海に吊って置いておけば良いと思っている人が多いが、全くそうではない。
また、夏場の高水温や、あこや貝に適さないプランクトンの大量発生に注意し、越物真珠を作る場合には、冬の時化や低水温での被害から少しでも母貝たちを守れるよう、海の様子を常に確認する必要がある。
これらのことをクリアし、当年物(1年物)真珠として浜揚げ出来るのは、仕入れ個数の約半分。越物(2年物)真珠となると、浜揚げ出来るのは3割~4割とさらに減ってしまう。また、浜揚げされた真珠のうち1級品は約10%、2級品は約40%、3級品は約40%、販売できない珠が10%ほどと分かれてくる。そして、奇跡の珠ブルーピンク パールに至っては、さらにその中の10%程度しか取れない。つまり、100,000個以上の母貝を仕入れるYamashita Pearlでも、1級品のブルーピンクパールは、年間わずか500個程度しか出逢えない、大変貴重な真珠なのである。
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▲母貝の掃除
真珠は浜揚げされてから消費者に届くまでの間に、薬品による加工、人で言うお化粧が施される。加工で色々調整できるからと言って、どんな珠でもきれいに仕上がるのかと言えば、もちろんそうではない。
元の真珠が良質でなければ、やはり高品質の真珠にはならない。この加工技術は各業者それぞれのやり方があり、企業秘密の部分でもある。Yamashita Pearlでは本来持っている真珠の色味を最大限に生かし、調色をしないままの真珠を主にご提供しています。
まず、加工の進み具合や加工後の出来を予測し、それに合わせた選別、穴開けを行う。穴開けは2通りあり片穴(ブローチやリング、イヤリングに使う貫通してないタイプ)と両穴(主にネックレスに使う貫通しているタイプ)に分ける。この時、穴をあける場所次第で加工ロスの割合が変わるので、場所選びは重要だ。
次に、しみ抜きを行う。浜揚げした真珠には、内部にシミと呼ばれる不純物が含まれている。このシミを薬品に漬けて取り除くのだ。続いて、珠の漂泊を行う。浜揚げした真珠は、結晶と結晶をつなぐコンキオリン(たんぱく質)が黄色のため、ややクリーム色を帯びており、下地を白くするために漂白を行う。
しみ抜きと漂泊に使う薬品の種類や調合の割合、温度管理等は極秘中の極秘で、それぞれが試験・改良を繰り返し、向上させてきた部分である。目指すゴールは、できる限りロスが少なく、真珠に優しく、加工後の劣化も遅く、それでいて美しく、さらにコストを抑えて仕上げることである。
そして、色の調整を行う。一般にピンク色が好まれるが、実はピンク色というのは加工である程度調整が出来てしまう色でもある。一方、ブルーは浜揚げした真珠そのものに入っていないと、加工では調色できない。だからこそ、プロが真珠を選ぶ時は、ピンクではなく、ブルーを重視するのだ。色の調整をしてないブルーピンクの珠があれば、養殖屋もうなる非常に貴重な珠である所以である。
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▲浜揚げされたばかりの真珠
近年、残念なことに真珠に関しての間違った情報が消費者の間に広まってしまっている。中でも最も誤解を招いているのが、インターネットやテレビ・新聞による真珠の通信販売でよく見かける、「某真珠鑑別機関の鑑別書付き『花珠真珠』」の問題である。
真珠のプロが見れば、一目で高品質ではないことがわかるような真珠までもが「最高級品」「花珠」と謳われてしまっているのである。この問題に関しては、日本真珠振興会などの業界団体からも警告が発せられているが、まだ世間に周知されていないのが現状である。(日本真珠振興会も注意を喚起する花珠問題についてはこちら)
真珠養殖屋Yamashita Pearlのプライドと、Futoshi Pearl Collectionブランドとしての威信をかけた珠であるため、一般の市場での鑑別よりも厳しく行なわれている。
本来、真珠業界で長年使用されている「花珠」とは、「アコヤ浜揚げ珠のうち最も品質の優れたもの」を表する用語であり、製品化されたアコヤ真珠に用いられる用語ではありません。
近年、市場では業界としての統一された品質基準のないまま製品化された様々な品質のアコヤ真珠が「花珠」として扱われており、鑑別機関が発行している「花珠鑑別」といわれているものの中には従前より真珠業界内で使用されてきた「花珠」の意味と明らかに異なるものもあり、さらに、一部の鑑別機関では、シロチョウ真珠やクロチョウ真珠まで「花珠」の呼称を使用しています。
一般社団法人日本真珠振興会
パールプロモーション委員会
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▲真珠の品質保証書
最後に
通常、真珠小売業者は、出来上がった枠を仕入れ、真珠を取りつけ販売している。そのため、どのお店でも似たようなデザインの商品を取り扱うことになります。
一方、Yamashita-Pearl では、ジュエリーデザイナーでもある山下太が、デザイン起こしから、枠の製造、真珠取りつけ、販売までを手掛けているので、他では見ない個性的でオリジナリティーの高い作品が多くなっています。
納期について
ブルーピンクパールの希少性、及び品質保持のため、毎月個数限定の少量販売とさせて頂いております。また商品の特性上、1点物の商品が数多くございます。特定のお日にちまでに商品が必要な方は、お早めにご注文下さい。
不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。